相続開始後に必要な手続きと期限を完全解説【後編】

相続税・遺留分・相続登記など重要な期限を解説

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前編では、相続開始直後から確認したい手続きと、

  • 相続放棄・限定承認【原則3か月以内】

  • 準確定申告【4か月以内】

について解説しました。

後編では、相続税、遺留分、相続登記、年金など、相続開始後に確認したい重要な手続きを解説します。


4.相続税の申告・納付【10か月以内】

相続税の申告が必要な場合は、

被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内

に申告と納税を行います。

注意したいのは、

遺産分割協議がまとまっていなくても、原則として申告期限は延長されない

という点です。

相続税の申告が必要になる可能性がある場合は、早めに財産調査を進める必要があります。


● 遺産分割がまとまっていない場合

遺産分割が未了の場合でも、申告期限までに相続税の申告が必要となることがあります。

原則として、法定相続分などを基準に相続税を計算し、申告します。

その後、遺産分割が成立したことによって税額が変わった場合には、

  • 修正申告

  • 更正の請求

などを行うことがあります。


● 「申告期限後3年以内の分割見込書」に注意

未分割のまま相続税を申告する場合は、特に注意が必要です。

例えば、

  • 配偶者の税額軽減

  • 小規模宅地等の特例

については、原則として遺産分割が完了していることが必要となります。

ただし、最初の相続税申告の際に、

「申告期限後3年以内の分割見込書」

を提出することで、一定の要件のもと、後日の遺産分割後に特例を適用できる場合があります。

相続税の申告が必要な場合は、早い段階から税理士へ相談することをおすすめします。


5.遺留分侵害額請求【原則1年以内】

遺言や生前贈与などによって、特定の人に財産が大きく偏っている場合、一定の相続人には「遺留分」が認められることがあります。

遺留分を侵害された場合には、「遺留分侵害額請求」を検討することになります。

期限は原則として、

相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内

です。

また、

相続開始から10年を経過した場合

も、原則として請求できなくなります。


● 遺留分が認められる人

遺留分が認められるのは、主に、

  • 配偶者

  • 子

  • 直系尊属

です。

一方で、

兄弟姉妹には遺留分はありません。

また、兄弟姉妹の代襲相続人である甥・姪にも遺留分は認められません。


● 請求は証拠を残すことが重要

遺留分侵害額請求では、1年という短い期間が重要になります。

そのため、

いつ、誰に、どのような請求をしたのか

を証明できるようにすることが大切です。

実務上は、内容証明郵便など、請求した事実や時期を確認できる方法を利用することがあります。

遺留分に関するトラブルは紛争になることもあるため、早めに弁護士などの専門家へ相談しましょう。


6.健康保険などの給付金・還付金を確認

相続開始後には、亡くなった方が加入していた健康保険などから、遺族が給付金や還付金を受け取れる場合があります。

例えば、

  • 葬祭費

  • 埋葬料

  • 埋葬費

  • 高額療養費

などです。

ただし、すべての方が受け取れるわけではありません。

また、加入していた制度によって、

  • 受給できる人

  • 必要書類

  • 請求期限

が異なります。

請求権に時効がある場合もあるため、早めに確認しましょう。


● 国民年金の死亡一時金も確認

一定の要件を満たす場合には、「死亡一時金」を受け取れることがあります。

ただし、

  • 保険料の納付状況

  • 遺族の範囲

  • 遺族基礎年金との関係

などの条件があります。

すべての遺族が受け取れるものではないため、年金事務所等への確認が必要です。


7.相続登記【原則3年以内】

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

相続や遺言によって不動産を取得した相続人は、原則として、

自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内

に相続登記を申請する必要があります。

正当な理由なく義務に違反した場合には、

10万円以下の過料

の対象となる可能性があります。


● 過去の相続にも注意

相続登記の義務化は、2024年4月1日より前に発生した相続にも適用されます。

2024年4月1日より前に相続したことを知り、不動産を取得したことも知っていた場合には、原則として、

2027年3月31日まで

に相続登記を行う必要があります。

「何年も前に親が亡くなったが、実家の名義変更をしていない」

という場合は、特に注意が必要です。


● 遺産分割後にも新たな登記義務がある

相続登記の義務は、相続開始時だけではありません。

例えば、遺産分割協議によって、

「この不動産は長男が取得する」

と決まった場合には、

遺産分割が成立した日から3年以内

に、その内容に基づく相続登記を申請する必要があります。

相続登記では、

  1. 相続開始後の登記義務

  2. 遺産分割成立後の登記義務

という2つの期限に注意する必要があります。


● 遺産分割がまとまらない場合

遺産分割協議がすぐにまとまらない場合には、

相続人申告登記

という制度を利用できる場合があります。

ただし、相続人申告登記は、遺産分割に基づいて最終的な所有者を確定する登記とは異なります。

相続登記については、司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。


8.遺族年金・未支給年金を確認する

● 未支給年金

年金を受給していた方が亡くなった場合、まだ受け取っていない年金が残っていることがあります。

この場合、一定の要件を満たす遺族が「未支給年金」を請求できる可能性があります。

ただし、単純に相続人であれば請求できるわけではありません。

原則として、

亡くなった方と生計を同じくしていた一定の遺族

が請求でき、法律上の順位も定められています。


● 遺族年金

亡くなった方の加入状況や遺族の条件によっては、

  • 遺族基礎年金

  • 遺族厚生年金

を受け取れる場合があります。

ただし、

  • 被保険者の加入状況

  • 保険料納付要件

  • 子の有無

  • 遺族との関係

などによって受給要件が異なります。

該当する可能性がある場合は、早めに年金事務所などへ確認しましょう。


相続開始後の主な期限一覧

手続き主な期限・注意点
死亡届         原則7日以内
世帯主変更届        必要な場合、原則14日以内
相続放棄        原則3か月以内
限定承認        原則3か月以内・相続人全員で手続き
準確定申告        4か月以内
相続税の申告・納付        10か月以内
遺留分侵害額請求        原則1年以内
相続登記        原則3年以内
遺産分割後の登記        原則、分割成立から3年以内
過去の相続登記        原則2027年3月31日まで
年金関係        原則5年の時効に注意

※期限や要件は、個別の事情や制度によって異なります。


まとめ|相続では「期限管理」が重要です

相続開始後には、

7日・14日・3か月・4か月・10か月・1年・3年・5年

など、さまざまな期限があります。

特に注意したいのは、

  • 相続放棄・限定承認の3か月

  • 準確定申告の4か月

  • 相続税申告の10か月

  • 遺留分侵害額請求の1年

  • 相続登記の3年

  • 遺産分割後にも発生する登記義務

です。

相続では、最初に相続人と財産を正確に調査し、必要な手続きと期限を整理することが重要です。

行政書士は、

  • 相続人調査

  • 戸籍収集

  • 財産目録の作成

  • 遺産分割協議書の作成

  • 各種相続手続きの整理

などをサポートできます。

一方で、

  • 相続税 → 税理士

  • 相続登記 → 司法書士

  • 遺留分などの紛争 → 弁護士

など、専門分野に応じた連携も重要です。

「何から始めればよいか分からない」という場合は、まず相続人と財産を整理し、期限のある手続きを確認することから始めましょう。

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